腰椎分離症とは？ 早期発見が重要な理由
腰椎分離症は、主に10代の成長期にスポーツなどの繰り返しの負荷（オーバーユース）が原因で起こる疲労骨折の一種です。腰の骨（腰椎）の後ろにある椎弓（ついきゅう）という部分の連続性が失われ、骨が分離してしまう状態を指します。
この疾患の特徴として、
- 好発年齢: 特に10代、活動量の多い中学生・高校生に多く見られます。
- 初期症状: 動作時や運動時の腰痛です。安静にしていると痛みが和らぐため、見過ごされがちです。
- 進行の可能性: 分離したまま放置すると、将来的に椎体が前方にずれて神経を圧迫する「腰椎分離すべり症」に進行し、坐骨神経痛や下肢のしびれを引き起こす可能性があります。
早期に診断し、適切な治療を開始することが、症状の進行を防ぎ、スポーツ復帰を可能にするための鍵となります。
症状と主な原因
| 主な症状 | 腰の痛み（動作時・運動時）、自然軽快と再発の繰り返し。進行すると下肢の痛み・しびれ・筋力低下（分離すべり症に移行した場合）。 |
| 主な原因 | 疲労骨折：青少年期に、野球・サッカー・バスケットボールなどのスポーツや労働で腰に過度な負担がかかること。遺伝的な要素が関与する方も少数います。 |
| 病態 | 椎弓部分の連続性が失われ、腰椎後方の支持性が低下します。 |
診断方法
当院では、患者様一人ひとりの症状と病態を正確に把握し、適切な治療へ繋げます。
- 問診と身体診察: 痛みの部位、発症時期、日常生活やスポーツ活動の詳細を確認し、腰部の動きや痛む場所をチェックします。
- 画像診断（X線・CT・MRI）:
- X線検査: 骨の異常や分離の有無を確認します。
- MRI検査: 特に分離の初期段階（疲労骨折の初期）では、X線で捉えられない変化を検出するのに有効です。
- CT検査: 分離した骨の状態を詳細に評価し、骨癒合の可能性を判断するために重要です。
当院で画像検査ができない場合でも、患者様のご希望を踏まえ、近隣の適切な医療機関へ速やかにご紹介いたします。早期の正確な診断が、最善の治療方針を決定するために不可欠です。
腰椎分離症の治療方法
治療は、発症からの期間（病期）と症状の程度に応じて決定されます。
1. 保存療法（急性期・早期の場合）
発症から間もない急性期であれば、骨癒合（骨がくっつくこと）を目的とした治療を行います。
- 安静の徹底: コルセットの着用やスポーツ活動の禁止（最低数ヶ月間）など、腰への負荷を最小限に抑えます。
- 薬物療法: 痛みを和らげるための鎮痛薬を使用します。
- 理学療法（リハビリテーション）: 痛みが落ち着いてきたら、筋力強化や柔軟性向上のためのエクササイズやストレッチを行い、腰部の安定化を図ります。また、日常生活での正しい姿勢や、腰に負担をかけない動作指導も重要です。
2. 保存療法（慢性期の場合）
急性期を過ぎ、骨癒合が難しいと判断された場合でも、痛みのコントロールと機能改善を目指します。
- 痛みが軽減できるのであれば、必ずしもスポーツや仕事を禁止する必要はありません。
- 理学療法を中心に、症状の再発予防と体幹の安定化を図ります。
3. 手術療法（進行した場合）
保存療法で効果が得られない場合や、分離すべり症へと進行し、下肢の痛みやしびれといった神経症状が強い場合に検討されます。
- 一般的な手術: 腰椎の安定性を高める腰椎椎体間固定術などが選択されます。
- 年少者の場合: 症例によっては、分離部のみを修復する分離部固定術が選択されることもあります。
- 手術の適応については、メリットとリスクを十分に理解し、医師と慎重に相談することが重要です。
当院での手術について
当院では、患者様の状態とご希望に応じて、適切な治療法を提案します。手術が必要と判断された場合には、スムーズに専門的な手術治療を受けていただける体制を整えています。
- 手術に関する詳細はこちらをご覧ください: https://sekitsui.clinic/surgery/
リハビリテーションとストレッチの重要性
リハビリテーションとストレッチは、腰椎分離症の治療において非常に重要な役割を果たします。
- リハビリテーション: 体幹（背骨や腹部）の筋肉を強化するエクササイズを通じて、腰部の安定性を高め、再発予防に繋げます。
- ストレッチ: 股関節や太ももの筋肉の柔軟性を向上させ、腰部への負担を軽減します。
⚠️ 注意点: 運動は徐々に負荷を増やしながら行い、痛みが悪化する場合はすぐに中止し、医師や理学療法士にご相談ください。個々の進行状況に合わせた無理のない継続が、日常生活の質の向上につながります。
腰痛でお悩みの方は、まず当院にご相談ください。
皆さまが安心してスポーツや日常生活を送れるよう、専門性の高い医療を提供いたします。
