脊椎内視鏡手術(FESS)とは? 30秒でわかる要点
- 傷口の目安:約1cm
- 入院期間の目安:3泊4日が基本(症状・術式・経過により前後する場合があります)
- 対象疾患:腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症
- 保険適用:健康保険適用(高額療養費制度の対象)
- 当院の体制:脊椎内視鏡下手術・技術認定医が在籍/首(頚椎)の内視鏡手術にも対応
- 主なリスク:感染、神経損傷、血腫など(詳細は本文Q7をご覧ください)
脊椎内視鏡手術(FESS)とは何ですか?
従来行われてきた脊椎手術は、皮膚を大きく切開し、周囲の筋肉を広範囲に剥離して患部を直接確認しながら進める方法が一般的でした2。これに対し脊椎内視鏡手術は、直径8mm前後の細い内視鏡を、ワーキングカニュラと呼ばれる筒から挿入し、カメラで確認しながら専用器具を用いて治療を行います。
当院で行っている脊椎内視鏡手術は、FESS(Full Endoscopic Spine Surgery/全内視鏡下脊椎手術)と呼ばれる手術方法です。FESSでは、生理食塩水で術野を灌流しながら手術を行うため、拡大したクリアな術野を確認しながら手術を行い、組織への負担を抑えやすいという特徴があります。
手術方法による身体への負担の違い
| 項目 | 従来のオープン手術 | 当院で行う低侵襲手術 | 内視鏡手術(FESS) |
|---|---|---|---|
| 切開の大きさ | 比較的大きい | 小さめ | 約1cm |
| 筋肉の剥離 | 比較的広範囲 | 抑えられる | 必要最小限 |
| 観察方法 | 肉眼または顕微鏡 | 顕微鏡・拡大鏡など | 内視鏡カメラ+モニター |
| 入院期間の目安 | 1週間〜数週間 | 数日 | 3泊4日〜(術式・経過による) |
※ 上記は一般的な目安であり、疾患・術式・患者さんの状態により異なります。
脊椎手術にはどのような治療法がありますか?
脊椎の手術と一口に言っても、観察方法や切開の大きさによっていくつかの方法があります。それぞれに適応や特徴があり、いずれも確立された手術方法です。患者さんの状態・疾患の種類に応じて選択されます。
「他院で大きく切る手術を勧められたけれど、本当に他に方法はないのだろうか」と感じている方も少なくありません。当院では、画像所見と症状を丁寧に確認したうえで、内視鏡で対応できるかどうかも含めて選択肢を一緒に考えることを大切にしています。
内視鏡手術にはどのような特徴(メリット)がありますか?
切開はおおむね約1cm。傷あとが小さく、目立ちにくいという声が多く聞かれます1。傷の治り方には個人差があります。
筋肉を大きく剥離せずに進入できるため、術後の痛みが比較的軽く済む傾向があります2。
ピンポイントで手術を行うため、術中出血量が抑えられる傾向があります4。
当院では3泊4日入院を基本としています(症状・術式・術後経過により前後する場合があります)。
身体への負担が少ないため、ご家庭やお仕事への復帰時期の目安が立てやすい点もメリットの一つです。復帰時期は職種・業務内容・回復経過によって異なるため、必ず主治医にご相談ください。
万が一椎間板ヘルニアが再発した場合も、状態に応じて再度内視鏡での治療を検討することが可能です。
どのような疾患・症状が対象になりますか?
こんなお悩みはありませんか?
- 首から肩、腕にかけて痛みやしびれがある
- 腰から足にかけての痛み・しびれが続いている
- 坐骨神経痛が長引いていて、根本的な治療を考えたい
- 手術を勧められたが、できるだけ身体に負担の少ない方法を探している
- 「オープン手術しかない」と言われたが、他の選択肢も検討したい
- 薬を飲み続けているが、なかなか改善しない
- 普通の生活は送れているが、このままずっと痛みを我慢する生活でよいのか不安
ひとつでも当てはまる方は、脊椎内視鏡手術が選択肢になる可能性があります。
当院が対応している主な疾患
- 腰椎椎間板ヘルニア:椎間板の一部が神経を圧迫し、腰や下肢の痛み・しびれを生じる疾患
- 腰部脊柱管狭窄症:神経の通り道が狭くなり、歩行時の腰下肢痛(間欠性跛行)が特徴
- 頚椎椎間板ヘルニア・頚椎症性神経根症:首から腕にかけての痛み・しびれの原因となる疾患
なお、適応の判断にはMRI・レントゲン等の画像検査と症状の総合評価が必要です。「自分は内視鏡手術の対象になるのか」といったご相談も承っております。
当院で脊椎内視鏡手術をお受けいただく特徴
腰の内視鏡手術(FED・FEL)に対応する施設は近年増えていますが、首の内視鏡手術(FPCF:全内視鏡下頚椎椎間孔拡大術)に対応するクリニックはまだ限られています。当院では、頚椎・腰椎いずれにも対応しています。
当院では、日本整形外科学会の脊椎内視鏡下手術・技術認定医(経皮的:FESS)が手術を担当します。全国でこの認定を保有する医師は約60名と限られています。
画像だけで判断するのではなく、症状の強さ、生活への支障、これまでの治療経過、患者さんご自身の希望を丁寧にうかがいながら、本当に手術が適しているのかを一緒に考えます。
当院で対応している主な術式(FESS)
| 部位 | 術式名(略称) | 正式名称 | 主な適応 |
|---|---|---|---|
| 腰椎 | FED-IL | Full Endoscopic Discectomy(Interlaminar approach)/椎弓間アプローチによる全内視鏡下椎間板摘出術 | 腰椎椎間板ヘルニア |
| FED-TF | Full Endoscopic Discectomy(Transforaminal approach)/経椎間孔アプローチによる全内視鏡下椎間板摘出術 | 腰椎椎間板ヘルニア | |
| FEL | Full Endoscopic Laminoplasty/全内視鏡下椎弓形成術 | 腰部脊柱管狭窄症 | |
| 頚椎 | FPCF | Full Endoscopic Posterior Cervical Foraminotomy/全内視鏡下頚椎椎間孔拡大術 | 頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症 |
※ 「どの術式が適応か」は、診察・画像検査によって判断します。
手術の流れと入院期間は?
来院・診察
症状を丁寧にうかがい、必要な検査(レントゲン・MRI・CT等)の方針をご説明します。
検査・診断
画像と診察結果から、疾患の状態と治療選択肢をお話しします。手術以外の選択肢(保存療法)も含めてご説明します。
治療方針のご説明・同意
内視鏡手術が適応となる場合、メリット・リスク・費用・代替選択肢を文書を用いて詳しくご説明し、患者さんに納得いただいたうえで同意をいただきます。
術前検査・入院
血液検査などの術前検査を行い、入院していただきます。
内視鏡手術の実施
全身麻酔のもと、手術を実施します。手術時間は疾患・術式により異なります。
術後・退院
3泊4日が基本ですが、症状や経過により前後することがあります。
退院後の通院・リハビリ
状態に応じて通院・リハビリを継続します。術後1か月程度は、激しい運動や重い物を持つことを控えていただきます。
費用はどのくらいかかりますか?
| 保険区分 | 健康保険 適用(自由診療ではありません) |
|---|---|
| 自己負担の目安 | 加入保険の自己負担割合(1〜3割)により異なります。入院費・手術料・麻酔料等を含みます。 ※ 具体的な金額は、疾患・術式・入院期間により異なるため、受診時にご説明いたします。 |
| 高額療養費制度 | 適用対象です。所得区分により月ごとの自己負担上限が定められています5。 |
| 民間医療保険 | ご加入の保険会社により手術給付金の対象となる場合があります。詳細は保険会社にご確認ください。必要な診断書は当院で発行可能です。 |
| その他の費用 | 個室利用料・食事代・診断書発行料などは別途必要になる場合があります。 |
※ 費用は診療報酬改定により変更される場合があります。詳細は受付にてお気軽にお尋ねください。
リスクや合併症はありますか?
手術をご検討される患者さんにとって、「メリットだけでなく、起こりうるリスクもきちんと知りたい」というお気持ちはとても自然なことです。当院では、良い面だけではなく、注意点や合併症についても誠実にお伝えすることを大切にしています。
起こりうる合併症
- 神経学的合併症:ヘルニアの摘出や靭帯切除の際に神経に刺激が加わり、一時的な痛み・しびれ・麻痺が出ることがあります。多くは時間とともに改善しますが、ごくまれに症状が残る可能性もあります。
- 術後血腫:術後の出血が傷の中にたまり、神経を圧迫することで症状が再発したように感じることがあります。多くは自然吸収を待つ経過観察で対応できますが、痛みが強い場合や麻痺が出た場合には、再度内視鏡で血液を洗浄する処置が必要になることがあります。
- 創部感染:約1cmの小さな傷で行うため頻度は高くありませんが、万が一感染した場合は処置・治療が必要になります。
- 硬膜損傷・髄液漏:神経を包む膜の損傷が生じる可能性があります。
- 麻酔に伴うリスク:アレルギー反応、術後悪心 等
- 血栓塞栓症:深部静脈血栓症、肺塞栓症などの可能性があります。
- その他、個別症例により異なる合併症が生じる可能性があります。
術後に起こりうること
- 椎間板ヘルニアの再発:数パーセント程度の確率で再発する可能性が報告されています4。再発予防のため、術後1か月は激しい運動や重い物を持つことを控えていただいています。再発時も、状態に応じて再度内視鏡での治療を検討することが可能です。
ヘルニアは一定の確率で再発することが知られており、状態によっては再度治療が必要になる場合があります。
手術効果について
手術の効果や回復経過には個人差があります。神経の圧迫期間が長い場合などは、痛みやしびれが完全には改善しないこともあります。当院では、画像所見や症状を踏まえ、期待できる改善効果と限界についてもできる限り具体的にご説明しています。
手術を受けられない場合はありますか?
「他院で手術を勧められたが、本当に内視鏡でできるのか確認したい」という段階のご相談も承っております。
よくあるご質問
監修医師のご紹介
- 資格
-
日本整形外科学会 専門医
日本整形外科学会 脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科指導医
脊椎脊髄外科専門医
日本整形外科学会 脊椎内視鏡下手術・技術認定医(3種・経皮的内視鏡下脊椎手技) - 所属学会
-
日本整形外科学会
日本低侵襲脊椎治療学会 評議員
関東JASMIST研究会 世話人
参考文献・出典
- 日本整形外科学会「整形外科シリーズ」(腰椎椎間板ヘルニア 等)
https://www.joa.or.jp/ - 日本脊椎脊髄病学会 発行の各種診療ガイドライン
https://www.jssr.gr.jp/ - 厚生労働省「先進医療の概要について」および診療報酬制度
https://www.mhlw.go.jp/ - PubMed / 医中誌Web 掲載の学術論文(具体的な論文名・発行年を追記予定)
- Ono K, Ohmori K, Yoneyama R, Matsushige O, Majima T. Risk factors and surgical management of recurrent herniation after full-endoscopic lumbar discectomy using interlaminar approach. Journal of Clinical Medicine, 2022.
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
https://www.mhlw.go.jp/ - 医薬品医療機器総合機構(PMDA)による医療機器情報
https://www.pmda.go.jp/
本ページのご利用にあたって
本ページに記載された内容は、一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を保証するものではありません。治療方法の選択や効果・リスクについては、個々の患者さんの状態により異なります。手術をご検討の際は、必ず医師の診察を受け、ご自身の状態に応じた個別の説明を受けてください。
本ページの記載内容は、作成時点の医学的知見に基づいており、今後の研究進展等により変更される可能性があります。掲載情報は医療広告ガイドライン(厚生労働省)に準拠するよう努めていますが、ご不明点は当院までお問い合わせください。
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手術の適応判断には、医師による診察と検査が必要です。「自分は内視鏡手術の対象になるのか」といったご相談も承っております。
